FUATURE #02 両口和史/イラストレーター

日常の一コマをお洒落に切り取る

新日本石油やさくらインターネット、auなど大手企業のWebや販促物のキャラクターデザイン・イラストを担当する、両口和史氏。

両口氏が描く都会的なモチーフのイラストからは、同時に懐かしさや優しさが伝わってくる。様々な相反する要素がうまく調和し、独特な雰囲気を作り出しているのだが、そのタッチの源となったのは何だろうか。

今回は、イラストレーターとして活躍する両口氏の制作現場に訪問し、ご自身の「イラストレーター」という仕事についてのお話を伺った。

 

画風に影響を与えた家族

木々に囲まれた琵琶湖の湖畔に両口氏のオフィスはあった。シックな佇まいのご自宅にお邪魔すると、中にはイラストの世界がそのまま再現された居住まいがあった。いや、実際には現実の世界が両口氏のイラストに再現されているのだが…。

両口氏のイラストの特徴は、全体的に色数が多いところにある。しかし、決して色同士が主張しあうことなく調和し、どのイラストからも懐かしさや優しさが伝わってくる。都会的でありながらノスタルジックを感じるイラストは、どのような発想から生まれたものなのだろうか。

「現在のスタイルに到達する過程で、間違いなく欠かせない要素のひとつとなっているのは両親の存在と、彼らが与えてくれた幼少の頃からの環境だと思います。共に京都の呉服屋の子として町家に育った両親は、当時としてはとてもモダンで、家具や雑貨、音楽に至るまで舶来の品をセンスよく取り入れていました。」

どうやら、両口氏の生まれ育った環境が大きく影響を与えているようだ。たしかに、京都駅のような未来的な建築物と、歴史のある寺社が同居する京都という土地柄は、都会的な雰囲気と懐かしさを同居させた両口氏のイラストのイメージと符合する。さらに、両口氏の両親も氏に大きな影響を与えていると語る。

幼児期の環境が、今の私の作品に少なからず影響を与えていると思います

「ベルト・ケンプフェルト楽団のレコードをターンテーブルに乗せては、リビングで母とチークダンスを踊ったり、日本版が発刊される以前の"PLAYBOY"や"PENTHOUSE""OUI"といった洋書雑誌を愛読し、クルマは生涯フォードであり続けた父。また60年代に北欧のお鍋やアメリカの洗剤を愛用していた母は、当時まだ珍しかったレゴやフィーシャープライスを始めとする輸入玩具を積極的に私に与えていました。テレビといえば幼児だった私にまで、"奥様は魔女"や"世界の料理ショー"のような海外番組を見せられて育ったことも大きく影響していますね。」

両口氏のイラストで頻繁に使用されている、60~70年代に流行した色彩は、そんな幼児期の環境が大きく影響している。

「ちなみに父の愛読していた上記の洋雑誌には刺激的なグラビアの他に、素敵なイラストが沢山掲載されていました。日常の1コマを洒落っ気たっぷりに切り取った風刺画のようなそれらのスタイルは、今の私の作品に少なからず影響を与えていると思います。」

両親と過ごした当時の思い出を楽しく語る両口氏の横顔を見ていると、映画のワンシーンの様な幸福な家庭だったのだろうと容易に想像できる。両口氏はそんな当時のイメージを、素直な目でイラストへと反映させているのだろう。

両口氏ショット

両口氏ショット


自宅でコレクションしているアイテムや家具、ご両親から譲り受けたレコードの数々が作品内に多数出演している。

自宅でコレクションしているアイテムや家具、ご両親から譲り受けたレコードの数々が作品内に多数出演している。
(上)危険な目に遭いやすい私 2011、(下)トマトスープ 2011

イラストレーターという仕事

現在もイラストレーターという職業に憧れる人は多い。イラストレーターを目指し、学校へ通ったり、展覧会を開いて自分の作品をアピールする人も少なくない。イラストレーターという仕事の一番の魅力とは何だろうか。

「老若男女、個性的ないろいろなタイプの人物を描くことが、とにかく楽しいですね。そこにファッション、雑貨、家具、音楽等…自分の大好きな様々なこだわりを加えて、自分流に料理する作業は時間を忘れてしまう程です。」

絵を描くのが好きな人にとって、イラストレーターという仕事はまさに天職だが、仕事である以上、楽しいことばかりではないはずだ。プロとして、大切な事とは何かを尋ねてみた。

「自分の見いだしたスタイルを素直に作品に表現し、貫く姿勢はとても大切なことではありますが、イラストをビジネスとして捉えるなら、そこは冷静に自分がクライアントやアートディレクターの立場になったことを想像してみて、自分の作品を別の角度から観察してみることがとても重要です。
自分のタッチがどのような業種のどのような媒体に適しているのかを、客観的に見極めることが出来れば、仕事の幅も広がっていくと思います。また、その時その時の自分の年齢によって変化していく得意なジャンルを自ら知り、逃さないようにすることも大切ですね。」

ただ、何の制約もなく自分の好きな絵だけを描いていては、もちろんビジネスとして成り立ない。そこがプロとアマチュアを仕切る大きな「壁」だと両口氏は語る。いかにクライアントの意向を第一に考えてしっかりとポイントを押さえ、自分自身も納得の出来るカタチに出来るかどうか。そこが難しくもあり、楽しくもあるようだ。

apolloに投稿している、「危険な目に遭いやすい私 2011」のラフスケッチ画

apolloに投稿している、「危険な目に遭いやすい私 2011」のラフスケッチ画


GEORGE'S FURNITURE/現在のスタイリッシュな作風よりやわらかいタッチが特徴の貴重な作品。

GEORGE'S FURNITURE/現在のスタイリッシュな作風よりやわらかいタッチが特徴の貴重な作品。

コミックのカバーデザインにチャレンジしたい

apolloへ積極的にご投稿していただいている両口さんが、apolloについてこのような感想を話してくれた。

「私は絵を描くことと同じくらいに音楽が好きで、聴くことも演奏することも決して日常から切り離せないタイプの人間なんですが、apolloさんへの作品の投稿は、まさに音楽の選曲に似たような感覚で楽しみながらさせていただいています。自分のサイトだと、どうしても古いものから更新順に並んで掲載されていたりするのですが、20年を越えたフリー歴でこれまで担当させていただいた多くの作品の中から、自分でも忘れていたレアな作品や、最新のオリジナル作品までを同じラインで捉えなおして、その日の気分で気軽に投稿出来るスタイルをとても新鮮に感じています。結果、自分にとって古い作品と改めて向き合う良い機会にもなっていたりもして、まさに一石二鳥です。」

とにかく音楽が好き。という両口さんは、現在、奥様とともに"duex cafe"というバンドを結成し、活動をされている。音楽もまた自身のイラストにも大きな影響を与えているのだそうだ。

duex cafe http://www.myspace.com/duexcafe

 

「このDJ的な感覚に関しては自分のマイページ内だけに限った感想ではなく、apolloさんに参加されている、全てのクリエイターさん達と共に作る「apollo」というタイトルのオムニバスアルバムに名前を連ねさせていただいているような、感覚でもありますね。」

様々なジャンルのアーティストが「apollo」というサイトに集まる様子は、音楽で言えば年中開催されている「フェスティバル」のようなものだと語ってくれた。未発表の作品も含めて、今後もapolloへの投稿を続けてくれる両口氏のマイページは要注目だ。

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Profile

1967年京都市生まれ。京都精華大学美術学部ビジュアル・コミュニケーション・デザイン学科を卒業後、1991年よりフリーとして活動する。1998年に「QUATRE ILLUSTRATION」を結成。オフィスを京都の北山から琵琶湖の湖畔に移し、様々なメディアのイラストを手掛ける。

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